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大学別「入試に出た天声人語」

世界標準の「皿」へ DVDの規格争い

無地の食器は料理を引き立てる。自らの個性を封じ、背景に徹することで、食材の色が一つ前に出るのだろう。白い皿は何かを盛ることで生かされ、逆に、何も載せなければ物悲しいものだ▼器と料理は、媒体と情報の関係に似ている。古くは紙と文字。白地に黒い情報を盛られて、紙は新聞や本になる。CDと音楽、DVDと映画の関係もしかり。媒体や、それを動かす機械は「伝える中身」がなければ価値を生まない▼かれこれ6年となる次世代DVDの規格争いで、ソニーや松下電器が主導する「ブルーレイ」の勝ちがどうやら見えてきた。競う東芝は、事業からの撤退を発表するようだ▼世界標準の「皿」を目指した戦いは、「料理」を握るハリウッドの大勢と、米最大のスーパーを味方にした側が優位を固めた。巨費を投じ、技術を尽くした機器も、伝えるべき情報を元から断たれ、売り場を失えば倉庫で眠るしかない。まさに「美器を作らんとする者は美食に通ずべし」(北大路魯山人)である▼家庭用ビデオの「VHS/ベータ戦争」は決着に13年かかり、多くの消費者が泣かされた。「負け皿」をつかめば料理に不自由するという教訓から、今回は買う側も慎重だった。東芝が早めに見切れば、混乱はそれだけ小さくなる▼「勝ち皿」も安泰ではないらしい。インターネットからパソコンに、映像をじかに取り込む手法が広まれば、皿の価値は薄れていく。鍋から口へとはしを運ぶことを、礼儀作法では下品と言い、映像ビジネスの世界では進化と呼ぶ。

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