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大学別「入試に出た天声人語」

鳥の聞きなし

鳥の声の「聞きなし」を知っておられるだろうか。鳴き声に耳を傾けて、似た言葉に置き換えることだ。簡単なものではカラスの「阿呆(あほう)、阿呆」、コノハズクの「仏法僧(ぶっぽうそう)」などがある▼やや難しくなるとフクロウを「ぼろ着て奉公」と聞く。地方によってさまざまだが、ツバメなら「土食って虫食って渋い」、ホオジロは「一筆啓上仕(つかまつ)り候」となる。夏を告げる渡り鳥のホトトギスは「特許許可局」だ。久しぶりに聞きたくて、先だって群馬の山を歩いた▼滴るような青葉だが、時期が早すぎたのか、美声の拝聴はかなわずに山を下りた。だがじきに飛来して、あたりのウグイスの巣に卵を産み付けるだろう。「托卵(たくらん)」といって、ホトトギスには抱卵から子育てまで他の鳥にお任せする変わった習性がある▼孵化(ふか)したホトトギスは育ての親より大きくなる。巨大なヒナに、小さな親が餌を与える図は、かなり奇異だ。自然の摂理とはいえ、ずうずうしい習性である▼劇作家の宇野信夫はある劇で、子不孝な遊び人を、岡っ引きが「お前は親にはなったが、親とはなれぬ」と諭すせりふを書いた。生物学的には親でも、世間的には親として失格。その含みを「に」と「と」の違いに込めた。遊び人は改心する、という筋書きだ▼親と子をめぐる辛(つら)い話が多い。熊本市の「赤ちゃんポスト」で男児が保護され、東京のゴミ集積場では女児が置き去りにされた。〈ツバメの子赤ちゃんポストは無縁です〉。川柳欄の入選作にほほえみつつ、「に」と「と」の違いを思ってみる。

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