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大学別「入試に出た天声人語」

超重症児

「超重症児」という言葉をご存じだろうか。重い知的障害と身体障害のうえに、絶えず医療が必要な人たちだ。超重症児を積極的に受け入れる、と宣言した東京都立東部療育センターが開所して、まもなく1年になる▼病室のベッドに横たわる内藤悟志君は16歳だ。生まれつき頸椎(けいつい)に障害があり、首から下が動かない。言葉も不自由だ。自分で呼吸ができず、人工呼吸器をつけている。たんもしょっちゅう吸引しなければならない▼母親の幸子さんは「いきなり呼吸が止まったことがこれまで何度もありました。いつも油断できないのです」と語る。看護師が見回るとともに、フロアの中央にある看護師詰め所でも、呼吸や心臓の動きを注意深く見守る▼この施設は都がつくり、「全国重症心身障害児(者)を守る会」が運営する。約90人の入所者のうち、半数以上が悟志君のような超重症児だ。医療の進歩で、乳幼児で亡くなることが減り、重い障害があっても生きていけるようになった。超重症児は施設への入所と在宅を合わせ、全国で数千人いるといわれる▼有馬正高院長は「命を守るだけでなく、生きていて良かったと思えるようにしてあげたい」と話す。言葉をかけながらリハビリをする。訪問学級の先生もやって来る▼悟志君は体は動かないが、確実に知的な成長をしている。言葉が少しずつ増え、病室から出たい時には、「出して」と言うようになった。フロアに出してもらい、他の入所者と一緒に遊ぶ。そんな時の笑顔をいつまでも見続けたい。それが家族の願いだ。

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