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大学別「入試に出た天声人語」

古希の三浦雄一郎さん、エベレストの最高齢登頂

「人生七十古来稀(まれ)なり」。70歳を表す古希は、杜甫の詩の一節から来ている。このごろは「近来ざらなり」と、おどける人もいる▼ざらには無いことが、世界の最高峰であった。古希の三浦雄一郎さんが、エベレストの最高齢登頂記録を塗り替えた。分厚いシェルパの支えがあったそうだが、実に強い意志と力をお持ちのようだ。加齢は妨げではなく、挑戦への支えとすら思わせる▼加齢による老化は、なぜ起きるのだろうか。鏡の中の、垂れ下がり気味のほおのあたりからは、万有引力のニュートン先生を連想する。エベレストからは、英国の登山家、マロリーの言葉として有名な「そこに山があるから」を思い起こす。そして「そこに重力があるから」とつぶやいてみる▼生命体は、重力によって常に地球の中心の方へ引っ張られている。誕生することを、生まれ落ちるともいう。体の一つ一つの細胞も引っ張られている。生き物の方も、細胞を入れ替えて新しくしながら、重力の引っ張りに対抗する。その戦いの積み重ねが、生命体に年をとらせるのではないか。もちろん、何の学術的根拠もない話だが▼とは言え、重力の存在とマロリーの言との間には、どこか通底するものを感じる。常に下向きのくびきがあるから、人は、地球の中心から最も遠い所へといざなわれるのだろうか▼マロリーは1924年にエベレストに挑んだが遭難した。ヒラリーとテンジンが登頂に成功したのは53年5月だった。それから半世紀の最高峰では、順番待ちで約50人もが「渋滞」していたという。

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