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大学別「入試に出た天声人語」

市民共同発電所

市民共同発電所というのが増えてきた。環境にやさしい太陽光発電などを手がけてみたい。でも何百万円も出せないし、パネルを並べる屋根もない。そんな人たちがお金を出し合ってつくった設備である▼94年に宮崎県串間市に誕生した「ひむか1号くん」が最初。地球温暖化問題への関心の高まりとともに多くなり、全国で30カ所ほどになった。風力もあるが、大半は5キロワット前後の太陽光発電所だ▼体験や悩みをぶつけ合い、より大きな流れにしようと、初の全国フォーラムが先頃、琵琶湖畔で開かれた。1泊2日、手弁当の交流会にどれだけ参加するか主催者をやきもきさせたが、北海道から九州まで200人近くが集まった▼「発電所は節電所。生産者になると、省エネルギーの大切さを実感できる」「環境を大事にする教育の中核施設にしている」「電気がいとおしくなった」。滋賀県の若い町長は「繊維産業は空洞化し、里山は荒れる。地方が貧しくなる今の方向を、自然エネルギーの利用で逆にしたい」と語った▼印象的だったのは「犠牲的精神だけでは運動は広がらない」という声が少なからず出たことである。発電コストと電力会社への売電価格との差が大きいため、出資者への還元に何十年もかかる。後の世代まで屋根を貸してくれるか。夢を追ってばかりではだめだ。そんな現実論は運動が定着し始めた証しでもあろう▼自然エネルギーの普及は、地域社会の再生から地球の将来にまで有益だ。発電原価で買い上げるなど「損をさせない」仕組みが必要だと思う。

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