ホーム > 大ヒ熊教授の実力テスト > クマでもわかる!小論文講座 > 今後の少年法のあり方について
『朝日新聞』07年5月4日付 「社説」よりどんな事件を起こしても、13歳以下の子どもは刑事責任を問われない。少年院に収容されることもない。13歳といえば、中学1、2年生にあたる。
これを家庭裁判所が必要と判断すれば、「おおむね12歳以上」を少年院に送ることができるようにする。刑事責任を問えない少年に対しても、警察官の調査権限を強め、家宅捜索して盗品などを押収できるようにする。
こんな内容の少年法と少年院法の改正案が、衆院で与党の賛成で可決された。*法案は近く参院で審議が始まる。
今回の改正案は、刑罰を科す年齢を16歳から14歳に引き下げた00年以来の大改正となる。しかし、衆院では疑問やあいまいなところが解消されていない。
少年院に収容できる年齢を引き下げようというのは、いまの開放的な自立支援施設では手に負えないケースがあるからだという。当初の政府案では、収容できる年齢の下限がなく、法的には小学生どころか幼児でも少年院に送ることができるようになっていた。
これはいくらなんでもひどすぎる、というわけで、与党が「おおむね12歳以上」と修正した。なぜ、おおむねというあいまいな表現なのかと問われ、「11歳もありうるからだ」と説明した。
11、12歳といえば、中学生だけでなく小学5、6年生も含まれる。与党が小学生も対象にすることにこだわったのは、12歳の中学1年の男子と11歳の小学6年の女子がそれぞれ03年と04年に起こした殺人事件が、今回の改正のきっかけになったからだろう。
しかし、小学生を中高生らといっしょに収容して、きちんと矯正や教育ができるとは思えない。
いまでも少年院は中学2、3年生も対象にしているので、1年生を受け入れるのはそれほど難しくはあるまい。だが、小学生となると、接し方も指導方法も異なる。年長の少年以上に親代わりになって、きめ細かく面倒を見る必要がある。
小学生はこれまで通り自立支援施設で教育し、少年院の対象は「中学生以上」に限った方がいい。
矯正や教育の前提になるのは、事実と動機の解明だ。それには警察の役割は大切だが、警察の権限を強めれば足りるというものではない。警察は捜査のプロであっても、少年の心を開かせる専門家ではない。しかも、少年は威圧に従いやすく、暗示にかかりやすい。
改正案に「質問にあたっては強制があってはならない」との規定が盛り込まれたのは当然だ。
しかし、それだけでは十分でない。警察官による質問の段階から少年に弁護士らを付き添わせたり、やりとりを録画したりする。そうしたことの義務化を求める野党の考えは十分検討に値する。
参院では、児童相談所や少年院などの現場の声を十分聞いたうえで、議論を尽くしてもらいたい。
*法案は07年5月25日参議院本会議で可決(6月1日交付)、同年11月1日施行された。