朝日新聞社の受験生応援サイト! asahiguma.com

ホーム  > 大ヒ熊教授の実力テスト  > クマでもわかる!小論文講座  > 記事が指摘している日本の医療の問題点をどのように解決すべきか  > 解答と解説

購読のお申し込み
朝日新聞
Power Up

大ヒ熊教授の実力テスト

クマでもわかる!小論文講座 解答と解説

解答作成のツボ

日本の医療の問題点を記事から正確に読み取り、これからどのように解決していくべきか、自分の意見を述べること。

問題に戻る

出題のねらい

ねらい

近年、医師不足の地域や診療科の偏り(産科医、小児科医、救急医不足)、大病院への患者集中などが問題になり、医療の安心が脅かされている。どうすれば患者にとってよりよい医療が提供されるのか、勤務医と開業医の役割を考えながら解決策を考えて欲しいクマ。

出題者が要求していること

ポイントは次の2点。

(1)資料文を把握する…
記事が指摘している日本の医療の問題点を正確に読み取る。
(2)自分の意見を述べる…
記事の内容を踏まえて、日本の医療の問題点をどのように解決すべきかについて、自分の意見を述べる。

問題に戻る

解答までの考え方

記事の論点をつかもう

日本の医療の問題点と厚生労働省の解決案を把握し、筆者がその案をどのように評価しているかを読み取ろう。

<日本の医療の問題点>

  • 夜間や休日に診療する開業医が減り、大きな病院に患者が集中しているため、病院は本来の高度な医療に集中できない。また、医師が不足し、勤務医は疲れ切っている。
  • 高齢化に伴い、地域での医療と介護の連携が必要になっている。
  • 同じような病院がいくつもあり、患者は病状の段階ごとに病院を選ぶことができず、使い勝手が悪い。

<厚労省の解決案>

  • 開業医に休日、夜間の診療、往診などをしてもらい、大きな病院は入院や専門的治療だけを行うようにする。
  • 開業医に往診や当番医のネットワークをつくってもらい、地域の医療と介護のまとめ役を担ってもらう。
  • 急性期、回復期、終末期など、病院ごとに機能を明確に分けて、互いの連携を強める。

厚労省の解決案は、これからの開業医のあり方を示している。筆者もこれに賛同し、「開業医はこの機会を前向きにとらえ、『町医者の復権』を図るべきである。病院の機能を明確化し、負担のふえる医師や病院には報酬を手厚くする必要がある。」と主張していることも押さえておくクマ。

解答作成上のツボを押さえよう

記事が提示しているのは、厚労省が示したこれからの開業医のあり方で、筆者もそれに賛成して「町医者の復権」と表現している。「開業医」のあり方を中心に「日本の医療」を考察していけば、論点がずれることはないだろう。説得力ある論述とするためには、記事にある解決策に賛成するだけでなく、より具体化するか、独自の解決策を考える必要があるクマ。

自分の意見をまとめよう

解決策としては、例えば次のようなことが考えられる。

  • 開業医を地域に密着した「かかりつけ医」とし、日ごろの健康管理や初期診断、安定期の治療を担い、急性期や症状の悪化など必要に応じて「かかりつけ医」が患者に専門病院を紹介する制度を作る。
  • 開業医個人が、一人で休日も夜間も診療し、往診もこなすというのでは、今度は開業医が疲れ切ってしまう。特定の開業医に負担が集中しないように、複数の開業医がネットワークを作り、協力して診療に当たる体制を作る。
  • 大病院に患者が集中する背景には、大きな病院なら安心という思いから軽い症状でもいきなり大病院に行く患者が多いことも考えられる。患者が機能による病院の区別を理解し、症状の段階による病院の使い分けが行えるように、広報活動を行う。

解答例は、「大病院の医師に診療負荷が集中する問題を解決するためには、開業医の『ネットワーク』化と『かかりつけ医』制度によって各病院の機能を明確にし、役割分担を行うべきである。」という論だクマ。

違う視点で解答をまとめる場合は

記事にある厚労省の案に賛成しない論を書いても構わない。ただし、全否定する論は説得力を持たないであろう。例えば、記事が提言している開業医の「ネットワーク」は、複数の開業医がいなければ成り立たない。医師のいない地域や、医師不足、診療科の偏りな ど、複数の開業医がいないケースがあることを述べて、その解決が先決であることを論じることができる。その場合は、医師の地域への適切な配分をどのように実現するかなど、具体的な解決策も必ず盛り込もう。

また、大病院に患者が集中する原因の一つに、機能による病院の区別を患者側が理解していないことを挙げ、機能による病院の明確な区別を理解してもらう広報活動の重要性を述べることもできる。ただし、患者側の努力・協力のみで問題が解決するというのでは説 得力に欠けるので、他の解決策と合わせて提示するとよい。

問題に戻る

解答例

夜間や休日に診療する開業医が減り、大病院に患者が集中して勤務医が疲労しているという現状は、度々報道されている。それは大きな病院に行くと長く待たされることからも実感できる。長時間待つのは患者も辛い。それでも大病院に患者が集中しているということから、開業医の果たす社会的役割が低下し、患者の信頼が薄れていると考えられる。

厚生労働省が提示しているこれからの開業医の姿は、夜間や休日も診療に応じ、往診も行い、ネットワークを作って協力し、二十四時間体制で地域に密着した医療に当たるというものである。医療と介護のまとめ役も担う。ただし、これは複数の開業医の協力がなければ不可能である。個別の開業医が昼も夜も休日も働くというのでは、今度は開業医が疲弊してしまう。ポイントになるのは「ネットワーク」化であろう。例えば、先日奈良県で、救急車で搬送されている妊婦の受け入れ先がなく、流産してしまうという事件が起きた。もしこの提案が実現し、近隣の二十四時間体制の開業医ネットワークが機能していれば、産科のベッドが満杯だったとしても、他科のどこかの空きベッドを探して、そこに産科の医師が往診し、対応するということもできたのではないだろうか。そういう実績を重ねることで、地域の信頼を得て、筆者の言う「町医者の復権」がなされるのだと思う。

さらに、私は「かかりつけ医」制度を提唱したい。開業医を地域に密着した「かかりつけ医」とし、日ごろの健康管理や初期診断、安定期の治療を担う。急性期や症状の悪化など必要に応じて「かかりつけ医」が患者に専門病院を紹介することで、大病院、専門病院との役割分担が明確になる。

開業医の「ネットワーク」化と「かかりつけ医」制度によって各病院の機能が明確になり、患者にとってよりよい医療の提供につながると考える。

問題に戻る