ホーム > 大ヒ熊教授の実力テスト > クマでもわかる!小論文講座 > 記事が指摘している日本の医療の問題点をどのように解決すべきか
『朝日新聞』07年5月10日付 「社説」より身近な開業医には夜間や休日でも診てもらいたい。大きな病院は入院と専門的な治療だけを扱い、軽い病気は開業医にまかせてはどうか。
厚生労働省は今後の医療ビジョンとして、こんな考え方をまとめた。
もともと、軽い病気の時は開業医、難しい治療や入院が必要な時は病院とすみ分けていた。
ところが最近は、夜間や休日に往診する開業医が減った。逆に病院に患者が集まり、勤務医は疲れ切っている。
厚労省が開業医と病院の役割を見直そうというのは、こうした現状を改めるためだ。限られた医師や医療機関を有効に使うためには、この改革は遅すぎたぐらいだ。日本医師会や地域の医療に責任を持つ都道府県も加わって、具体策をまとめてもらいたい。
厚労省案の第一の柱は、住民とのかかわりが深い開業医にもっと働いてもらおうということだ。高齢化が進むなかで、地域の医療を充実させるには、開業医の活用が欠かせないからである。
診療所で患者を診るだけでなく、往診に出かける。当番医のネットワークをつくり、夜間や休日も診察にあたる。時間外でも電話で相談に応じる。高齢者には24時間体制で対応する。そんな活動が新たな開業医の姿として描かれている。
また、高齢者が地域で安心して暮らしていくためには、医療だけでなく、生活を支える介護サービスと組み合わせる必要がある。開業医はその全体のまとめ役となることも期待される。
地域の医療が充実すれば、病院の勤務医は軽い病気の患者を診なくてもよくなり、本来の高度な医療に全力を注ぐことができる。これは病院の医師不足の解消にもつながる。
問題は、往診や休日診療をあまりしなくなった開業医が急に変われるかどうかだ。いまさらそんなことはできないという開業医も多いかもしれない。
だが、ここは開業医の出番だと前向きにとらえるべきではないか。開業医を中心とする日本医師会は、この機会に組織をまとめ、「町医者の復権」を図った方がいい。
厚労省案のもう一つの柱は、全国に約9千ある病院を急性期、回復期、終末期などの患者の病状に応じて機能をはっきりさせたうえで、互いの連携を強めることだ。
同じような病院がいくつあっても、患者は病状の段階ごとに選ぶことができず、使い勝手が悪い。性格のはっきりしない中小病院は厳しい選択を迫られることになるが、患者の利益や全体の効率を考えれば、やむをえまい。
開業医に新たな役割を負ってもらう。病院ごとに機能を明確にする。そうした改革を進めるにあたっては、仕事や責任のふえる医師や病院には診療報酬を手厚くし、メリハリをつける必要があることは言うまでもない。