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『朝日新聞』07年4月8日付 時時刻刻「体細胞クローン、食べても安全か 米世論は敬遠、乳業界も反発」より体細胞クローン動物の肉や乳は「食べても安全」とした米食品医薬品局(FDA)の報告に、米国内で反発が広まっている。安全性に懸念を抱く消費者だけでなく、生産農家も「牛乳の売り上げ減につながる」などと不安を募らせる。FDAは一般からの意見を公募中で、年内には市場出荷を解禁するかどうかを最終決定する見通し。米国に先んじて「安全」報告を出しながら、出荷に二の足を踏む日本も、その動向を注視している。
FDAは2日、昨年12月28日に出した「安全」報告への一般意見公募期間を1カ月延長し、5月3日までにすると発表した。当初の90日の公募期間では「有意義で奥深い議論を進めるのに不十分だという懸念が寄せられた」(FDA)からだ。
突然の公募期間延長は、報告への反発の強さを物語っている。
FDAは報告で、体細胞技術でつくった牛、豚、ヤギの肉と乳は「食べても安全」で、食品として利用する際も特別な表示は必要ないとした。
しかし、世間がこれに納得したとは言い難い。
米乳業最大手のディーン・フーズは2月22日、「クローン牛の乳は受け入れない」と発表。「米国民がクローン牛の乳製品を買いたがっていないことは、多くの調査で明らかだ」と説明した。
実際、民間調査機関ピュー・イニシアチブの昨年9月の世論調査では、クローン動物食品は「危険」(43%)という回答が、「安全」(22%)のほぼ2倍に達した。
乳業業界が反対の先頭に立っている背景には、第2次大戦後、米国での牛乳消費が一貫して減り続けている現実がある。
米農務省によると、国民1人あたりの年間牛乳(全乳)消費は1945年の約156キロが04年には約27キロと、5分の1以下に激減。しかも、80年代末まで消費を伸ばしていた低脂肪乳まで、90年代に入り減少に転じた。
米国では93年にバイオ技術で合成した牛成長ホルモンが認可され、乳量を増やす目的で、乳牛に使われ始めた。
非政府組織・食品安全センターのジェイディ・ハンソン政策分析担当は「バイオ技術が結局、消費者に嫌われ、低脂肪乳の消費減にまで拍車をかけた、という思いが乳業業界にはある」と言う。
連邦上・下院では今年に入り、クローン動物を使った食品に表示を義務づける「クローン食品表示法案」がそれぞれ提出され、審議中だ。上院に法案を出したミカルスキ議員は「(クローン動物食品を)最初から追跡し続けなければ、すべての食品を汚染してしまうことになりかねない」と危機感を募らせる。
FDAのスティーブン・サンドロフ獣医学センター長は「すべての意見を検討したうえで、結果を公表する」とし、年内には結論が出る見通しだ。だが、「安全」という科学的な評価が覆る可能性は低いとみられている。
食品安全センターのハンソン氏は「クローン動物が、その子孫まで健康で、食べても安全だというには、より大規模で長期的な調査研究がたくさん必要だ」と指摘した。