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『朝日新聞』06年6月11日付 「社説」より安倍首相直属の「教育再生会議」が発足した。首相が掲げる教育改革を具体的に練り上げる場である。
委員には各界から17人が起用された。経済界の人も学校の創設や運営の経験を持つ。教育委員会や小学校からも選ばれている。現場の実情を踏まえた論議を期待したい。
初会合のあいさつで、首相は課題として「学力の向上」を挙げ、教員免許の更新制や学校評価が必要だと力を込めた。さらに規範意識や情操を身につけるための方法を議論するよう求めた。
学力低下はさまざまな調査で明らかになっている。規範意識はモラルと言い換えてもいいだろう。その低下も多くの人がうなずくに違いない。
学力と規範意識を高めるのは、今の教育の重要な課題である。だが、この二つは切り離して考えるのではなく、つながりにこそ目を向けなければならない。
03年の国際的な学習到達度調査でも、学力の基本である読解力が3年前の調査に比べて落ち込んだ。読解力の高い層のレベルは変わらなかったが、低い層は一段と下がっていた。しかも、低い層の割合が他の国に比べて大きい。
学力低下の実態は、できる子とできない子の二極化というべきものだ。
授業についていけない子どもは、学ぶ意欲を失う。教室を捨てて非行に走り、投げやりになりがちだ。そうした子どもにいくら規範意識を説いても、聞く耳を持つまい。
先生の話を聞き、教科書を読む。そうした日々の授業こそが、学力を高め、規範意識を育てる何よりの場である。
まずは、どんな子にも学ぶ意欲を持たせるようにすることが大切だ。そのためには、少なくとも、これまで以上にきめ細かな指導が必要だろう。
学校ごとに競争させれば、すべてが解決するかのような意見がある。確かに競争は必要だ。しかし、いまの学力の二極化は、競争だけで解消できるほど生やさしいものではない。よほど慎重に進めないと、子どもたちや学校の間の格差をさらに広げることになりかねない。
やはり全体を底上げすることが必要だ。同時に、できる子の学力をいっそう伸ばすことを考えなければならない。
中曽根内閣の臨時教育審議会や小渕・森内閣の教育改革国民会議など、歴代内閣が教育の改革を掲げてきた。そのたびに振り回されてきたのが、子どもや父母、教師である。教育再生会議は、この繰り返しであってはならない。
日本が「学力大国」と言われたのは、そんなに昔のことではない。それが今では「二流国」と言われ、学力の格差の広がりに直面している。
どこでつまずいたのか。原因をきちんと究明してほしい。それをしないで、いくら方策を並べても、説得力はない。
「教育は百年の計」と言われる。小手先の対策ではなく、斬新で骨っぽい提言を聞かせてもらいたい。