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クマでもわかる!小論文講座 今回の小論文

【問題】
次の記事を読み、世界の人権状況の改善のためにはどのようなことが必要か、あなたの考えを800字以内で述べよ。

「拉致問題はわが国にとって未解決であるのみならず、国際的な広がりを持つ問題だ」。日本政府代表がこう訴えると、すかさず北朝鮮の代表が反論した。「未解決なのは第2次大戦時の日本の強制連行だ」

スイス・ジュネーブで開幕した国連人権理事会での光景だ。人権問題を国連の主要なテーマと位置づけるため、これまでの人権委員会を改組し、理事会に格上げして初めての会議である。

この改組によって、毎年春だけだった会議は年3回に増やされた。全加盟国の人権状況について定期的にチェックする仕組みも導入される。47の理事国は国連総会の選挙で選ばれることになった。

しかし、新しい理事会に向けられる視線は厳しい。初会合の冒頭、国連のアナン事務総長はこう呼びかけた。

「人権委員会に巣くっていた『対決と不信の文化』を『協力と関与の文化』へ変えなければならない。政治的な得点稼ぎに追われることは許されない」

人権委の機能不全はそれほどひどかった。政治的に対立する国同士や、先進国と途上国とが際限のない非難合戦を繰り広げる。お互い「人権侵害国」のレッテルを張りあい、実際の人権状況の改善にはほとんどつながらなかった。この汚名をどこまでそそぐことができるかが新たな人権理事会の最大の課題である。

他人から自分の家の中のことをとやかく言われるのは愉快なことではない。まして国と国の関係となれば、主権の壁やナショナリズムもある。

理事会は当事国から異論の出る余地の少ない問題から取り組んでいくしかなさそうだ。まず虐殺や強制移住、少数民族の弾圧といった明白な人道犯罪に目を向けてはどうだろう。

現地事情に詳しいNGOの協力を得ながら、人権侵害の事実を詰めていく。理事会に強い調査機能を持たせ、人権高等弁務官とも連携する。人道支援や開発援助の国際機関とともに人権被害者の救済で実績を積み上げていきたい。

人権侵害の被害者を「保護する責任」は、当事国だけでなく国際社会も負っている。明らかな人権侵害があれば、国際社会は国境を超えて人権救済に力を尽くすことが求められている。

日本と北朝鮮のやりとりを聞く限り、拉致問題で実りある結果が得られるのか心配になる。しかし、人権救済の経験を重ねることで、多くの国が広い視点で拉致のような難題にも取り組めるようになるはずだ。

残念なのは、米国が新組織に加わらず、オブザーバー参加にとどまっていることだ。この理事会に不十分なところがあるのは確かだが、少しずつでも機能するよう手直ししていくしかない。

米国にも、人種差別などを克服するための苦闘の歴史がある。世界の人権状況を改善する取り組みには、息の長い努力が必要なのだ。理事会に背を向けるような態度を考え直してもらいたい。

『朝日新聞』06年6月26日付 「社説」より

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