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クマでもわかる!小論文講座 今回の小論文

【問題】
本文を読み、個人情報保護のあり方について、あなたの考えを800字以内で述べよ。

*個人情報保護法や条例は、メディアの取材にも影響を及ぼしている。朝日新聞が取材網を通じ全国調査すると、さまざまな支障が起きていた。

昨年12月、大津市民病院。診療部長が6年間、無許可で他の病院で診療していたことが分かり、部長が減給6カ月、院長と副院長も管理責任を問われ処分を受けた。

記者会見では3人とも匿名だった。記者クラブが明らかにするよう迫ると、市側は「個人情報だ。公表基準にない」。03年にできた市の内規では、刑事事件になるなど社会的関心を集めない限り、氏名を発表しない。

押し問答の末、病院事務局長が市職員課に判断を仰いだ。院長にも「一般論として回答していいか」と確認し、病院ホームページにもある院長名だけが出た。

耐震強度偽装問題が発覚した昨年11月、奈良県は、姉歯秀次元建築士がかかわったホテルが県内にも二つあるとの情報を得て調査を始めた。朝日新聞の取材に、担当幹部は「ホテル名は個人情報。どこまで公表するかは偽装が明らかになれば考える」と答えた。

県が記者会見で、「サンホテル奈良」「サンホテル大和郡山」という名前を出したのは、その7日後。朝日新聞がホテル名を割り出し、「営業自粛」と報じた後だった。

県の担当者は「未確認のまま公表し、間違っていたらその方が問題だ。ただ、『ホテル名は個人情報』と言ったとしたら不用意だった」と言う。

選挙候補者の経歴は、虚偽なら公職選挙法違反になる。報道各社は裏付け取材して報じている。

昨年7月の静岡知事選。立候補予定者が卒業したかどうか、朝日新聞が東京大学に確認すると「本人の同意書を出してほしい」。東大は04年1月、「本人の確認が取れた場合には応じる」という基準を定めていた。

予定者から同意書を書く了承を得て、東大に再び連絡。今度は、「立候補を確認してから答える」という返事だった。

対応の変化について改めて担当部署に尋ねると「だれが当時答えたかわからない。私なら告示前でも応じます」と言う。

事件や事故の取材も例外ではない。

昨年7月に大阪府藤井寺市で起きた22歳の息子による母親刺殺事件。地元の消防組合は詳しい説明を拒んだ。条例に基づき、住所は丁目や大字(おおあざ)まで、氏名は発表しない運用をしている。事件後の11月、識者らでつくる審査会に諮り、運用を変えないことを再確認した。

愛知県知多市で昨年4月に発生した一家6人殺害事件。「救急隊員から現場の状況を聞かせて欲しい」との求めに、知多市消防署の署長は「個人情報なので説明できない」。報道各社は「現場の状況がなぜ個人情報なのか」と抗議したが、対応は変わらなかった。

北海道の旭川市消防本部は個人情報保護条例をもとに04年、独自規定を定め、出火場所や焼失面積の広報をやめている。

保護法は、報道への情報提供に当たり、表現の自由を妨げてはならないと定める。独協大法科大学院教授の三宅弘弁護士は「単に面倒で拒否しているケースが多いのではないか。市民の知る権利を保障するためにも、本当の私的領域を除いて情報は公開されるべきだ」と話す。

*個人情報=個人情報保護法の「個人情報」とは、氏名、生年月日その他の記述により特定の個人を識別することができるものを指す。

『朝日新聞』06年3月29日付 「さまよえる個人情報(5)」より

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