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『朝日新聞』05年12月23日付 「社説」より増え続けてきた日本の人口が減り始めるという。いよいよ「人口減少社会」になる。
日本の人口は05年にピークを迎え、06年から減少に転じるとみられていた。しかし、少子化がいっそう進む一方、インフルエンザの流行などで死亡数が出生数を1万人上回ることになり、05年中に自然減になる見通しだ。
ついに来たかという衝撃がないわけではない。だが、慌てることもない。というのも、多くの県ではすでに人口が減り始めている。労働力人口も一足先に減ってきた。それで目立った不都合がおきているわけではないからだ。
人口減は緩やかに進んでいく。いまの約1億2800万の人口は2050年には1億に、2100年には6400万に半減する。その影響はボディーブローのように効いてくる。労働力が減り、経済が縮んでいく。
先の先を見越して、経済の変革を着実に進めなければならない。
労働力を広げるため、高齢者や女性がもっと働きやすいようにする。高齢者向けの商品開発など新しい市場を開拓する。経済の効率を高め、1人あたりの生産性を上げる。
年金や医療、介護など、現役世代が高齢世代を支援する社会保障の仕組みも、さらに改革する必要がある。少子化と高齢化が同時に進んで人口が減れば、制度は立ち行かなくなる。
少子化対策にいよいよ本腰を入れて取り組まなければならない。減少カーブを少しでもなだらかにして、人口減がもたらすさまざまな衝撃を緩和させたい。
*1.29まで落ち込んだ出生率は回復できない、とあきらめるのは早すぎる。フランスの1.90は遠いが、スウェーデンや英国の1.71くらいまで盛り返せないものか。
政府の少子化対策は、すでにメニューは出そろっている。必要なのはもっとコストをかけることではないか。
社会保障費のうち、年金や介護など高齢者向けが70%を占めるのに、児童手当や保育所など子ども向けは4%にすぎない。これでは少子化は止まらない。
若い世代が結婚して子供を産み育てたいと思える環境をつくるには、企業も積極的な役割が求められる。パートや派遣ばかりに走らず、正社員を増やし、安定した人生設計が立ちやすいようにしてもらいたい。
ただ、人口減少社会は悲観的なことばかりではあるまい。真の豊かさという観点から見れば、拡大一辺倒できた戦後日本の価値観を見直し、新しい生活のありようを探る好機といえるかもしれない。
日本の人口が減っても東アジアの経済が繁栄すればどうなるのだろう。人やモノはますます国境を越えて移動する。一国だけの尺度で人口を考えてもどこまで意味があるのか疑問にも思えてくる。
豊かに成熟していく。そんな道を考えていきたい。
*1.29=04年の合計特殊出生率。05年は1.25まで低下した。